SEMINAR

(株)中植牧場中植昭彦様セミナー(第41回農楽マッチ勉強会)

中植氏 (2)

新しい畜産「能勢黒牛」

開催日時:2016年6月19日(日)13:30~16:30
開催場所:損保ジャパン会議室3階第31会議室

大阪では数少ない畜産農家です。豊能郡能勢町で牧場を運営し、「能勢黒牛」のオリジナルブランドで、精肉店やレストランなど多角的に経営しておられます。

中植氏の地元である能勢町は三白(米、寒天、高野豆腐)三黒(炭、栗、黒牛)が昔からの名物で、牛は農業にとってもトラクターのない時代に田を耕す際に重宝されていました。中植牧場は昭和20年の創業ですが、農業の機械化の影響で牛の消費を農業利用から食用や精肉卸業を強化し、飲食店である焼き肉店も昭和47年にオープンしました。中植氏は18歳から中植牧場に就労し平成19年に35歳で事業を承継しました。『食糧生産を担っているという自覚を持ち、牛飼いを通じて社会の役に立ちたい』『子どもの将来つきたい職業ランキング1位に牛飼いになるように』という理念の元、活動されています。

中盤は牛の種類の違い(黒毛和種は霜降りが多く、褐色和種や日本短角種は赤身の美味しさが特徴)や子牛登記(その牛がどの種類から生まれたものか等が詳細に分かるもの)、肉の格付けなどの解説だけでなく、自身の研究で、人はなぜ牛肉を美味しいと思うのかという根本に立ち返り、味覚や美味しさについても分かりやすく語って頂きました。

また牛の霜降りを増やすために、牛にとって良くないことをしている業者もいる中、中植氏は畜産や安全で美味しい和牛を守りたいという理念の元、牛にストレスをかけないように、一頭一頭に愛情をかけています。その際に「牛が幸せを感じると、人と同じようにドーパミンが出て、牛肉を口にした人間も幸せになる」ことに気づき、牛に「おはよう」と挨拶をし続け、牛から本当に信頼をされ、牛の病気にもいち早く気付くなど、他の牧場にはない経営をされています。

しかし、畜産業は最高級の肉を作ったとしても大半は赤字になる業界であることや、1キロの牛肉を作るのに、10キロの穀物を使用するなど、問題も多いです。そこで中植氏は本来30ヶ月近くかかる出荷のまでの期間を19ヶ月に短縮する研究を行っています。19ヶ月飼育は本来の穀物消費を牛1頭あたり3トン節約でき、これにより世界で17人の先進国の飢餓を救えるとのことです。

そういった取り組みをされながらも、牛肉の味については「牛肉サミット2014」で5位や審査員特別賞を受賞するなどの実績もあります。

またストレスをかけない牛は牛肉アレルギーの子どもが食べても、影響が出ないなど、良い面がたくさんあるとのことです。

質疑応答では19ヶ月飼育の牛についてどのような工夫をされているかや将来性についての質問に対し、肥料のやり方について工夫がされており、最近はとろけるような食感よりかみ応えが重視されつつあるので、19ヶ月飼育の牛は今後増えていくのとの回答などで盛り上がりました。

(文責:眞下幹弘)