SEMINAR

①東松英司様②柏木克之様セミナー(第29回農楽マッチ勉強会)

柏木氏 (7)

①機能性食品表示について、②社会福祉法人一麦会の取組みについて

開催日時:2015年6月21日 (日)13:30~16:00
開催場所:ヤンマー本社ビル12階プレミアムマルシェカフェ

①東松氏は中小企業診断士及び6次産業プランナーであり、本日のテーマは機能性食品表示である。機能性食品とは、保健機能食品の一つとして文字通り機能性を表示できる食品であり、平成27年4月施行の食品表示法で適用されている。機能性食品と表示するためには、①機能性の科学的根拠②安全性の根拠を国に届出する必要がある(審査は不要)。①は、最終製品を用いた臨床試験の実施か機能性関与成分に関する研究レビューが必要であり、②は、評価方法としての喫食実績等を、成分方法として医薬品との相互作用や関与成分同士の相互作用の検証が必要である。

健康維持増進に役立つ機能成分を含むトクホとの相違について、「サッポロプラス」と「パーフェクトフリー(トクホ)」の実例で比較し、実質的な相違があるかどうかは良くわからないが、安全性ではトクホが勝る。また、蹴脂粒を使用したお茶について、トクホ申請した際には審査上却下されたものが、機能性食品として届出されて受理されていることは問題である。だが、そうしたことも公開されることで検証できるという意味で抑止力があるとのことであった。

最後に、農家にとって機能性食品を取扱うには、対象、安全性、品質の管理体制など届出の要件を確認することにより、多品種との差別化や特定ターゲット層への訴求力・知名度アップに繋げる対応が可能となる旨の説明をされた。

 

②柏木氏は大手スーパー勤務から福祉作業所へ転職し、社会福祉法人一麦会(麦の里)の執行理事を務めるとともに厚生労働省や農林水産の検討委員を多数経験されている。スーパーでの管理職経験を活かし、障害者の就労支援の一環で農産物直売所の立ち上げや食品加工工場の運営などを任されている。

地方での障害者の就労状況は厳しく、経済的自立を図るべく年金と併せて12万円弱の収入を得るために給料5万円を目指しているが、現状では4万円弱である。麦の里では地域の資源を活用した6次産業化で事業を拡大する方向性を示している。和歌山には豊富な農林水産資源があり、これらを活かした事業として、小規模軽装備の事業立ち上げ、専門的知識は不要、障害者が働ける小規模工場からスタートした。その後、事業として継続するために、地域の資源にこだわりのあるオンリーワンの商品を生産し、スーパーなどと対等の取引ができる品質を求めるようになった。

地域の地元企業から協力を取り付け、商品づくりには専門家から学び、売れ筋商品のマーケティングを行い、本格的な受託製造を拡大している。この間、手作り納豆、果物、お菓子、野菜、農水産物の加工など次々に手掛け、行政や他の事業者と連携して販路を拡大しているが、基本は、障害者の就労支援という枠組みを維持することである。事業を展開する中で、せんべい製造は障害者のみに事業管理を任せるなど、障害者の就労レベル

を上げることにより事業地域の体制を強化するようにしている。

一方、事業課題として、障害者の特性から生産性の向上は簡単ではないこと、企業の競争原理をそのまま持ち込めないことなどがある。通常の企業であれば実施している経営管理業務が十分できていない問題である。これらを解決するには障害者の個人目標の設定や管理者の設置など、障害者の福祉の現場を踏まえた対応について長い時間をかけて取り組むことになる。今後の取組みとして、和歌山県高齢者生協など他団体と連携してさらなる障害者の就労場所を開拓し、地域の6次産業化の推進と高齢者サービスを掛け合わせた事業を志向することにより、地域社会への貢献が可能な社会的企業を目指すとしている。

社会福祉法人になかなか経営的センスをお持ちの方は少ないと思われるが、柏木氏は民間出身ということもあり、話される内容は経営者としての立ち位置そのものであると感じられた。ご自身の身内に障害者がおられることが事業を行う際の原動力になっていることは想像に難くない。障害者の就労支援を自らの実践で行っているだけに、内容には説得力がある講演となった。

(文責:金 志カン)