SEMINAR

京都府立大学 中村貴子様セミナー(第30回農楽マッチ勉強会)

中塚氏 (1)

地域を元気にする女性起業の6次産業化

開催日時:2015年7月19日 (日)13:30~16:00
開催場所:京都生協 せいきょう会館4F会議室

1.京都府立大学 講師 中村 貴子

①イタリアでの6次産業の事例より

オリーブ農家にて農産物のオリーブだけでは経営が苦しく、オリーブオイル(加工品)

や農家民宿などを試行錯誤している。優れたデザインラベルでの訴求やコンテストで優勝するなど、自信を持てるようになってきている。(キーワード:オシャレ、高品質)

②東近江市「池田牧場」女性社長の取り組み  *池田喜久子さん

従来の乳牛農家を引き継いで、乳製品加工品、観光農園(カフェレストラン、キャン

プ場)を展開。年11、2万人の観光客を集客、年商1億7千万を稼ぎ出すまでに。

○古民家レストラン ~香想案~

地域の人気のレストラン。害獣駆除での鹿肉メニューや新鮮な牛乳を加工したジェラートを提供。「命を無駄にしない」「牛乳を無駄にしない」等、商品だけでなく生産者としての想いをメッセージにして届けることで、お客様より大きな共感を得ている。

また、商品開発にあたり、ジビエは猟師と、ジェラートはレストランシェフとコラボして、常に

新しい取組みにチャレンジしている。さらに、近隣集落よりの野菜も販売している。

※お客さまに指示される理由

ただ、ここまでには、資金がない(なかなか融資して貰えず)、何をどうすれば良いか等、なみなみならぬ課題を越えてきた。

「田舎のヒロインわくわくネットワーク(農家女性の会)」に入り、自分の夢を宣言し事業を具体化していった。 ※同じ境遇の仲間との学びが重要

<成功のポイント>

・専門家とコラボし、6次化での本物商品開発、お客が楽しめる観光農園化

・自身が生まれ育った近隣地域との連携。地元雇用/貢献

・生産者としての想いを言葉や形にして伝え、物語をつくる

<女性起業の特徴>

・社会貢献意識   ・現状を変えて収入増へ  ・趣味/特技を活かす

・PLAN⇒DOでなく、DOから!自身をプロデュースすること!

<所感>

6次化といっても、地域やお客様より支持されないと成り立たない。

商品の魅力はもちろんのこと、商品を売るよりも、農業を伝えることが重要と感じた。

また、女性起業家の池田さんのように、とにかく行動=DO。そして、農畜産品の大切な想い

を伝えること、地域社会への貢献が大切だと思います。

2.大阪商業大学 中塚華奈

①スーパー tohoの農業への取組み

<取組みコンセプト>

健康で安全な地域の冷蔵庫を目指して~売る側からのつくる側への参入~

・H18年より「兵庫楽農生活センター事業」を開始。現在、㈱トーホーファーム

(4.28ha)としてトーホー子会社にて運営中。

兵庫県の所有地に、農場、レストラン等を展開。兵庫県知事も後押ししている。

・近隣農家の野菜も自社マルシェで直販

・JA六甲道での野菜委託販売

・体験農業、婚活企画、結婚式等のイベント

<トーホーの強み>

・社内の店舗運営、経営ノウハウの活用

・近隣農家の女性雇用促進

・近隣農家の農産品との共同流通化(コストダウン)

※まだ赤字だが、残留農薬が国基準の1/10とし、8品目がひょうご安心ブランド

に認定される。また、社員の農業研修を実施しており、社員の意識も高まってきている。

 

②淡路市 玉ねぎ農家「有限会社 新家青果」の取り組み

淡路のたまねぎはブランド化しているが、農家の高齢化、今後の更なる価値追及が課

題と捉え、Uターンした実家の青果流通会社の若手後継者(新家 清輝)が自社での玉ねぎ

生産を開始。

「自身が一人になっても最後まで玉ねぎ農家をやってゆく」決意で取組むことに。

<現状課題について>

・たまねぎ農家の高齢化による農家継続の危機感

・農薬、化学肥料への食の安全への懸念

・生鮮たまねぎだけでは農家収入が伸びない

<さらなるブランド化へ>

・自社農場で有機栽培を始める。他のどの農家もやっておらず、安心ブランド化へ

・オリジナル品種開発~糖度9以上、辛味少ない甘い玉ねぎ「あまたまちゃん」

・JAS有機はもちろん、GLOBAL G.A.Pを取得。世界に通用する玉ねぎを目指す

※また、立体保冷倉庫の利用を開始し、たまねぎの通年出荷を可能としてゆく

 

<所感>

スーパーが農産品生産へ取組みしたことで、社員の意識が変わったことが素晴らしい。

販売する野菜を大切にする想いが生じ、消費者であるお客様へも伝わってきている。

今後、このスーパーの野菜売り場が楽しみとなる。

また、淡路のたまねぎはブランドとして確立しているが、地域農業の今後のことを考えた

新家青果の新たな取組みは、他の農作地域へも大変参考となる。

3.株式会社マイファーム 西辻一真

<理念> 自産自消のある社会を創ることで世界を変えたい。野菜づくりで得られる

「気づき」で世の中を良くしてゆきたい。

<4つの柱>

・体験農園 ~ 野菜づくりは楽しいを届ける

・A,F,C(アグリフディッシュカレッジ) ~ 農業の奥深さを学ぶ

・流通、小売り ~ 野菜販売は農家の気持ちに触れる入口

・直営農場 ~ 野菜づくりのお手本

<マイファームのミッション>

野菜(モノ)、作る(コト)に載せて人々に農業の素晴らしさに気づいてもらう

*今までマイファームに10万人の人が触れている。

*「早く行きたいなら一人で、遠くへ行きたいならみんなで」を社員で共有

<西辻氏の農業への目覚め> *第一のターニングポイント

子供の頃、家庭菜園にて両親と一緒に野菜を栽培。

・手間をかけるほど美味しい野菜ができることを学ぶ。

・子供ながらに大人より良い野菜をつくり、両親から褒められて自信がつき、

野菜づくりに目覚めた。将来は農業の学校、仕事に進むことに

<大学農学部での疑問>   *第二のターニングポイント

将来の食料不足問題に対応すべく、いかに作物の生産性を上げるかでの品種改良や

1人当りの生産性向上の研究が主流である中、自身は農地を増やせばよいと

の考えを持った。(世界の耕作放棄地38%、国内は約10%)

どうすれば、耕作放棄地を再度農地へできるかを考え、農地土木ベンチャーを

発想する。※起業の動機

「産物が先でなく、農家が先では?との考えを持つことに」

⇒“自産自消”への実現のため、世界の耕作放棄地を農地へ! ※起業理念

<東日本大震災での惨状>  *第三のターニングポイント

東日本大震災の被害で、荒れた農地への再生に取組むことに

塩害、放射能汚染の風評被害、携わる人がいない・・・・再生しなければの想い

現在6haのトマト農園を運営し、ジュース用トマトを栽培。地元雇用にも貢献。

※農業で地域復興を実現してゆく

 

☆起業、「マイファーム」2008年設立☆

現在、従業員:118名、半期売上:1億2千万。経常:25百万

年間7万円の体験農園事業から始める。

以降の事業の核となり、ハード、ソフトを整備して他事業を展開してゆくことに。

FC展開はせず、理念やノウハウをカレッジで直接教えて、農業従事者を増やす

ことへ。 農業の見えないところを伝えてゆきたい。

また、耕作放棄地への農地借用については、所有している農家へ納得してもらう迄

通い続けて、信頼を築いてゆくように交渉。理念を伝えて耕作放棄地を無くしてゆく。

<ビジネスモデル>

*農業に興味のある消費者→①農業体験事業「マイファーム」→②農業大学事業

「アグリ・イノベーション・カレッジ」→③自社の野菜を食べて関心を持ってもらう

「野菜販売~流通イノベーション事業」→*農業に興味のある消費者へ

<農場経営のポイント>

農場は生鮮品生産、販売だけでは経営はなかなか難しい。

アグリツーリズムを取り入れて、複数事業を展開してゆくべき

マイファームでは、体験農園、自社農園、都市での農産品販売の他に以下の事業を

展開し、多角的に農業関連事業を進めている

①レストラン経営  農園レストラン Nora (福井県)

養鶏:平飼い鶏の新鮮たまご~安全で美味しい食事を提供~

②加工場 (宮城県)農産品の加工品製造、OEMも受注

③養蜂業 (兵庫養父) 国産はちみつを宅配で消費者へ届ける

<所感>

マイファームはただ単に農産品をつくるだけでなく、直売や農産品の加工、体験農園、レストランさらに農業希望者への教育までをビジネスとしている。

まさに、自産自消を実践した成功例である。

全て未経験、マーケティングなしとのこと。成功の要因は、しっかりした理念をみんなで共有し、情熱をもって全力で取組んできた結果ですが、何より、西辻代表の農業への情熱を、並々ならぬ行動力と良い仲間で具現化できたからだと思います。

農業の新しい型が見えてきたような、大きな期待感を持ちました。

(文責:合田福仁)