SEMINAR

株式会社農業総合研究所様セミナー(第20回農楽マッチ勉強会)

及川氏 (7)

農業で起業〜農産物の新しい販売方戦略〜

開催日時:2014年9月23日 (火)13:30~16:00
開催場所:梅田阪急オフィスタワー29階㈱ライフプラザパートナーズ セミナールーム

株式会社農業総合研究所は創業から毎年150%の成長を続け2014年度の取扱高は予測で45億円、全国に集荷場45拠点を有し登録農家は4500に上る。数々の賞を受賞し、経済ニュース番組の特集でも取り上げられ、日経業界地図 2015では直売所として掲載されるまでとなっている。

躍進を続ける同社及川智正社長の農業への思いは学生時代にさかのぼる。卒業後関東で就職するもその思いは捨てられず、農業の経験を積むため奥さんの実家のある和歌山に活動の拠点を移す。だが、希望に満ちて転身したものの充足感を得ることはなかった。それは「ありがとう」がなかった、つまり顧客の声を聞ける環境になかったからである。

顧客が見えなければモチベーションは上がらない。そこで、農協経由ではなく直販に挑戦する。最初は営業に明け暮れるだけの厳しい年となったが、翌年から成果が出るようになる。販売先のスーパーから加工業者の紹介もあり、売り上げが伸びるようになった。顧客の要望を聞いていく、これこそが重要だと確信した。しかしそのようなやり方は地元の農家には受け入れられず、「農業を変えたい」という思いをさらに強くする契機となった。

そんな中、声が掛って大阪千里中央で青果店の経営に乗り出すことになる。その時のパートナーは第17回の特別講演の河村氏である。農作物を出荷する農家の側から、出荷された農作物を仕入れる側への転身である。この経験により価格の厳しさについて考えるようになった。立場の違いによって考え方が大きく変わることを身をもって実感した。

そして株式会社農業総合研究所を設立。農業の流通を改善するための活動を精力的に行う。当初は農家の営業コンサルタントを務め成果を出すことができたが、コンサルティングは目に見える仕事ではなく評価されにくい。その対価として農作物を受け取り販売したところ、新たなビジネスにつながっていった。

農産物委託販売は同社のビジネスの7割を占める。登録農家が農作物を集荷場に持ち込み値付けし売り先も決定する仕組みが構築されている。農家には売り場の声が届くようになっている。及川氏のこれまでの経験が仕組みづくりに生きている。

様々な経験を経てビジネスを拡大し評価を得るようになった現在でも、及川氏の前向きな姿勢は変わらない。同社のビジョンは「持続可能な農産業を実現し生活者を豊かにする」ことである。農業ではなく農産業である。チャレンジは今後も続く。

情熱的に語る一方で自身を冷静に見つめ、過去を受け入れ未来を楽観し現在を前向きに生きる。起業人としてだけでなく人間としても大いに見習うべき点である。

及川氏は最後にこう締めくくった。「農業に情熱を(Passion for agriculture)」

(文責:國里康典)